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網膜色素変性症の経過・生活面の工夫

網膜色素変性症は原則として進行性ですが、網膜色素変性症の進行の早さには極めて個人差があります。30代でかなり視機能(視力、視野)が低下する方もいれば、70歳でも1.0の良好な視力の方もいます。

長い経過の後に字が読みにくい状態(矯正視力0.1以下)になる網膜色素変性症は多いですが、暗黒になる方はむしろあまり多くありません。この個人差は網膜色素変性症の原因となっている遺伝子異常が非常に多彩であるため、ひとりひとりが異なった遺伝子異常であることに由来するのかもしれません。

しかし、同じ家系の中で当然同じ遺伝子異常と考えられる網膜色素変性症患者さんでもその進行度や重症度に差のある場合も判明してきましたので、まだわかっていない色々な要因によって網膜色素変性症の進行度や重症度が左右されている可能性があります。

したがって同じ病名であるからといって同じ症状や重症度、進行度を示すわけではないことを十分に理解して下さい。その上で自分の病気の進行度や重症度を専門医に診断してもらうとよいでしょう。進行度をみるためには当然1回の診察だけでは網膜色素変性症の診断は不可能です。

定期的に何回か診察や検査を受けて初めてその人の進行度を予想することができます。また、他の目の病気も合併します。水晶体が濁ってくる白内障は高齢になると増える病気ですが、網膜色素変性症の一部の患者さんでは、より若い時からおこることがあることもあり、このために見づらくなることもあります。白内障の治療は 通常おこなわれている手術を同じようにおこなうことができます。

生活面の工夫

網膜色素変性症患者の長時間の屋外活動は、網膜に強い光が当たり、病気の進行を早める可能性があります。眼を守るためには、可能ならば屋内労働中心の職業を選択したり、学齢期であれば部活動は屋内でできるものを選ぶなどの工夫をしてください。

ただし、症状の軽い若いうちから進路選択の幅を狭める必要は、全くありません。なぜなら、たとえ将来重度の視覚障害に至るとしても、それまでの長い年月は、ほとんど他の人と変わらない生活を送れるからです。