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網膜色素変性症の検査・診断
視力検査

眼科では必ず行われる検査ですが、網膜色素変性症の場合、かなり進行するまで良好のことが多いです

眼底検査

網膜色素変性症では、典型的な場合、眼底に黒い色素〈しきそ〉が沈着していることが多く、網膜動脈が細くなっていたり、視神経萎縮などもみられます。

暗順応検査

夜盲の程度を調べる検査です。病気の診断の際に行われます。

視野検査

視野狭窄の程度を調べる検査です。病気の進行レベルを把握するうえで重要な検査で、だいたい1年に1~2回程度の頻度で行われます。一点を見つめ、周囲の視標を動かして視野の限界を調べる方法(動的視野計)と、視標の明るさを変えて認識できた最小の明るさから網膜各部の感度を計測する方法(静的視野計)があります。静的視野計は、より正確な進行状態の把握に役立ちます。

診断

網膜色素変性症の主な症状は、夜盲(いわゆる鳥目)、視野狭窄、視力の低下です。夜盲は、光の明暗を感じる杆体が障害され、明るさに対する感度が悪くなるために起こります。網膜色素変性症の患者さんは、明るいところから暗いところに移動したとき、目が暗さに順応できません。

また、杆体は網膜の周辺部分に多く、中心部には少ないことから、網膜の周辺部分から徐々に侵され、中心部分に向かって視野が狭くなっていく特長的な視野狭窄(求心性狭窄)が起こります。視力低下の進み方には個人差がありま すが、完全に失明することはほとんどありません。

これらの症状はゆっくりと進行することから、なかなか気づかず、多くの患者さんは 30歳代、あるいは40歳~50歳代になって初めて受診します。また、男女差はなく、両目に起こります。網膜色素変性症の診断には、まず、視力検査、眼底検査、視野検査が行われ、確定診断には、網膜電図検査、蛍光眼底造影、暗順応の検査が行われます。

「眼底検査」では、この病気の特徴である網膜の色素沈着を調べますが、まれに、網膜色素変性症であっても色素の沈着が 認められないこともあります。その場合は、網膜電図検査(ERG)が必要です。目に光を当てると普通は網膜に電位変化が起こりますが、杆体が障害されていると電位の変化が起こらないことから確定診断ができます。

さらに蛍光眼底造影で、色素上皮層の過蛍光がみられます。暗順応の検査とは、夜盲を調べるものです。どの医療機関でも受けられる検査ではありませんが、いずれの検査も網膜色素変性症は厚生労働省の「特定疾患」に指定されており、この認定を受けるためには欠かせない検査です。